〔ゆきの自然を楽しむ〕
写真の説明文は中西正一先生の著書(ふるさとの人、自然とともに)の説明文をコピーさして頂いて居ます。
説明文の転載に付きましては、徳永真治元先生のご協力を頂いて居ます
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| 91「フキノトウ」(キク科) 雪の解けた日溜りにはタンポポやフキノトウが花を咲かせています。緑のないこの時期に見られるフキノトウは特別に美しく私達を魅了します。フキノトウは春の使者として昔から親しまれてきました。炒りみそにしたり天ぷらにしたりしてほろ苦さを楽しんできました。フキノトウは食用として賞味されるほか、昔から薬用としても利用されてきました。せき止めや食欲促進に効果があると言われています。私は、フキノトウの天ぷらがすきです。少し開いたフキノトウを天ぷらにしてみましょう。風味は一級品です。やってみませんか。ところで、フキノトウは葉に先立って花茎を地上に表し、淡い花を咲かせます。この花は雌雄異株になっています。雄株の花は黄白色をしています。雌株の花は白色です。雌株は、花の終了後、花茎をぐんぐん伸ばして、種を飛ばします。誰もがよく見かける綿毛の花は雌株なのです。フキにはアキタブキもあります。人間の背丈よりも高くなります。葉柄の長さは二メートルほどにもなり、葉の径は一・五メートルにもなります。傘にもなる大きなフキとして有名です。春、フキなどの山菜を採取するとき間違えてはならないものがあります。それはハシリドコロという植物です。みずみずしい美味しそうな葉を食べると大変です。命取りになってしまいます。ハシリドコロは猛毒ですので、絶対に食べないようにしましょう。 |
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| 92「ワサビ」(アブラナ科) ワサビは深山の水の澄んだ谷沿いに生える多年草として知られています。根茎を香辛料とするため長野県などで栽培されているのを観光でみられた方も多いと思います。北アルプスや南アルプスから流れ出る澄んだ水を利用して栽培し高値で売買されているのを見ると、油木町にも同じような環境があればいいのにと羨ましく思います。油木町では根茎が香辛料に使えるほど大きくならないため葉ワサビとして親しまれて着ました。百彩館などでも売られていますので旬の味を味わってみましょう。ところで、皆さんは葉ワサビをどのようにして食べられますか。私は、まず、水できれいに洗います。次に、水をきって短く刻みます。その次に、ザルに入れ熱湯をかけます。それをしぼると密封食品保存容器か大きなコーヒー瓶などに入れ、醤油を適量入れて蓋をします。最後に、激しく振り続けた後、冷蔵庫にいれて冷やします。これでOKです。しばらくの後、冷蔵庫から出し蓋を開けると鼻を通る香りと、ぴりっと辛いワサビの味を味わうことができます。 大根を強くすり下ろすと辛くなる、カラシを一方方向に激しくこねると辛くなるように、ワサビにも強いショックを与えると辛味が出るのだと思います。ワサビが生えるには、冷たい澄んだ水とその水が湧き出たり流れたりする谷沿いの環境が必要です。残念ながら、このような自然環境は少なくなっていますが、これらの自然を貴重な財産として保存し、ワサビの味を故郷の味として、人から人へと伝えていきたい物です。 |
| 93「キジ」(国鳥」 毎年のように五月になると「草刈り機でキジを刈り取ってしまった。卵がたくさんあるんだけど、どうにかなりませんか」と言う知らせが入ってきます。同じような経験をされた方は多いと思います。このような時、親が無事なら「刈り取った草で巣の周りを元に近い形に囲ってください」と言います。時間の経過が少ないと親が戻ってきます。でも、しっかり囲った草原にしてやらないとカラスに卵をやられてしまいます。キジは人家付近の草原に巣作りをするので大変身近な鳥として親しまれてきました。火に囲まれても、草刈り機で斬り殺されても卵(雛)を守る親として生き方に心を打たれた方も多いと思います。私にも色々な思い出があります。私の住んでいる行政区で人家火災が起こった時のことです。夜の火災でその家は全焼してしまいました。朝、区民全員が灰かきに集合しました。丁度家の前には細長い水田が横たわっていました。田のあぜを歩いて火災跡に行こうとしていた私はあぜに巣作りをしていたキジを踏んづけてしまいました。「ケン、ケン」と羽毛を蹴散らしながらキジが飛び立ちました。昨夜の火災の火の粉や放水を全身に浴びながら守り続けた親の姿に心を打たれました。孵卵器で孵化し育てました。普通、卵を抱くのは雌だと言われていますが、その時は確かに雄でした。たかがキジ、されどキジ・・・キジたちの親としての生き方に触れ、自分自身が人として立派に生きているだろうかと反省させられるのです。 |
| 94「ささゆり」(ゆり科) 〜立てばシャクヤク 座ればボタン 歩く姿はユリの花〜ユリの花が美しい季節を迎えました。ユリにもたくさんの種類がありますが、油木町で自然に生えているユリはササユリ、コオニユリ、ヒメユリです。コオニユリは、入谷川沿いの岩山で観察することができます。ヒメユリは自然の中で見たことはありませんが岩貝の高延さんが「昔は、この辺りにたくさん生えていたのですよ」と話してくださいました。濃赤色の可愛い花です。今回皆さんお馴染みのササユリを紹介しましょう。ササユリはいつでも誰でもが手にできるユリでした。花を摘んでは匂いを嗅いだり、花びらを採って蜜をなめたりしました。雄しべの花粉で鼻先やほっぺが赤くなり笑い合ったものです。学校へも持って来る子どもがたくさんいたので学校中がササユリの香りに包まれました。ササユリにも色々あるようです。一九九ニ年安田の甲斐恵子さんが見せてくださったササユリは一輪の花に花びらが十枚、雄しべが十本もありました。また、ササユリは普通一本の茎に一輪の花を咲かせますが、写真のように毎年たくさんの花を付けるものもあります。これらササユリも最近では激減しあまり姿を見かけなくなりました。でも、山の手入れをされたササ山ではササユリを見ることができます。〜自然を人を育て 人は自然を守る〜と言うように山の手入れをすることで多くの草花が守られてきました。やはり人と自然は共存関係にあるのですね。 |
| 95「ネムノキ前線北上」 加茂の辺りから咲き始めたネムノキがこの辺りでも七月に入ると咲き始めます。ネムノキの由来は、小葉が夜の間は閉じて眠るからです。オジギソウがおじぎをする様子に似ていますね。ネムノキのことを私はコウカイノキと教えられて育ちました。皆さんはネムノキをどのように呼ばれていますか。ネブノキ、コウカ、コウカギ、コウカイノキどれでしょうか。呼び名がどうであれ、美しく咲いた紅色の花には見とれてしまいます。また、涼しさを感じますね。ところで、ネムノキの花は、日没前に開花します。だから、朝のネムノキが一番美しく見えるのでしょう。ネムノキの花が咲いた後にはさやができ、中には豆がつまっています。それを見て豆の仲間だと分かります。しかし、あの細い糸状の花からはとうてい豆の仲間だとは考えられません。ネムノキの花は場所によって咲く時期が違ったり、花の色が微妙に違ったりするので違いを楽しむこともできます。大きな時代の流れの中でいろりやくどが消え風呂もストーブも薪をたくことが少なくなりました。薪割をしているとよく割れる木、割れにくい木があります。その中でもネムノキは気持ちよく割れる木として思い出に残っています。樹木もいろいろ、樹木の花もいろいろです。そのいろいろからいろいろなことを学ぶことができます。 |
| 96「コンニャク」(サトイモ科) 「神石の三黒」とは何かご存じですか。昔からの神石郡の名産物の「コンニャク」がその一つです。コンニャク畑を見ると昔の思い出が次々とよみがえってきます。私が子どもの頃は何処の家でもコンニャクを作っていました。玉植、しばふり、草取り、消毒、玉堀など、子ども達も大切な働き手でした。コンニャクの思い出の一番は何といっても中学時代にコンニャクをむかごと間違えて食べたことです。ガジッとかみ砕いた瞬間、口の中に針が立ったような痛みが走り大変なことになりました。台所に飛んで帰った私は、水や塩水や砂糖水やホウ酸水、お酒や酢など台所にあるあらゆる物でうがいをしました。ところが、口の中の戦争は収まりません。奮闘努力する内にやっと頭にひらめいたのが「ふくらし粉」でした。私は、このふくらし粉を使ってラムネを作って飲んだ経験を思い出したのです。早速ふくらし粉を水で溶いてうがいをすると今までの苦しみがスーと消え嘘のように楽になりました。その時、私は考えました。初めてコンニャクを食べた人はあのあくの強いコンニャクの食べ方をどのようにして見つけたのだろうかと。コンニャクを作るのにソバがらの灰汁が一番と言われますが、コンニャクは芋だから、焼いて食べたと思うのです。焼くとどうしても芋に灰が付着します。灰が付着した芋を洗ってたべている内に灰汁であくを取ることを見つけたのだと思うのです。皆さんどう思われますか。人は、あらゆる物を調理して食べます。でも、その方法を見つけるまでには大変な苦労があったことを今更のように考えさせられるのです。 |
| 97「ヌマトラノオ」(さくらそう科) ヌマトラノオは、その名の通り沼地に生える可憐な花です。この辺りでは休耕田や小さな沼地に自生していますが、あまり多くはありません。仙養ヶ原の湿地にも生えていました。花穂の一つ一つの花が少し間隔をとって咲くのでとても可愛く思えます。秋風に優しく揺れる真っ白なヌマトラノオの花を見ると疲れを忘れさせてくれます。 |
| 98「キキョウ」(ききょう科) キキョウは秋の七草の一つです。紫色の花を見ると郷愁を誘います。昔は棚田の周りや山々の芝刈りが盛んに行われていたのでキキョウも多く見ることができました。しかし、今では、結構珍しい花になってきました。キキョウの花は、リトマス試験紙の青の働きをします。青梅・・・赤梅・・・すっぱい・・・酸性ですから、青い花が赤くかわればそれは酸性ということになります。子どもの頃からアリの尻から出す液をこのキキョウの花に着けて遊んだものです。青い(紫色)花が赤色に変わっていくのです。アリの出す液は酸性だ。なめると強い刺激と酸っぱさを感じるので「希塩酸と同じだ」と子供心に思うのでした。 |
| 99「タンナトリカブト」(きんぽうげ科) トリカブトの仲間は、約三十種が日本に分布しています。油木町に自生するのはタンナトリカブトです。漢方ではその根を附子(ぶす)と呼びます。この液を弓の矢先につければ、熊をも殺せるという毒性を秘めています。この附子は狂言としても演じられています。 |
| 100「田川瀬の秋」 鬼釜で知られる田川瀬、田川瀬に続く下帝釈の秋の風景は格別です。鬼釜は決してスケールは大きくありませんが、一度は突き当りまで探検してみる価値はあります。雨が降ると天井から落ちる滝には圧倒されます。また、秘境下帝釈も秋に一度歩いてみましょう。道はありませんので、川原や川の中を進みます。半日以上かけると神竜湖の堰堤に到着します。きっと素晴らしい思い出になることでしょう。「ゆきの自然を楽しむ」も一〇〇号を記念にこれが最後となりました。いずれ一冊の本として出版したいと思っています。約九年間ご愛読下さりありがとうございました。 |