〔ゆきの自然を楽しむ〕
写真の説明文は中西正一先生の著書(ふるさとの人、自然とともに)の説明文をコピーさして頂いて居ます。
説明文の転載に付きましては、徳永真治元先生のご協力を頂いて居ます
当サイトの文章は、全てオリジナルです。無断複製・転載はかたくお断り申し上げます。
| 1「クロツバメシジミ」 「羽が飛んでいる」・・・飛んでいる蝶を見た子どもの叫びです。子どもが感動したように蝶の美と魅力は羽にあります。自然が織り成す美しさはまことに不思議です。ところで、クロツバメシジミは、その名のごとく黒い羽をしているため美しい長ではありません。では、何故有名なのでしょうか。それは、局地的のしか棲息していない蝶であることと、棲息地によって羽の裏模様が異なるという特徴っを持っているからです。蝶の幼虫はツメレンゲというめずらしい植物を食草にしています。旧家には、「ツメレンゲが生えると金持ちになれる」という言い伝えがあり、石垣などに大切に保護されてきました。このクロツバメシジミが油木町で発見されたのは最近のことです。私達は「蝶が舞う故郷を育てる会」を結成し、その保護と増殖に努めています。「たかが蝶、されど蝶」・蝶が結んだ縁で愛媛県関前村岡村島「夢の瀬戸内海チョウの島の会」と交流しています。みなさんも蝶の美しさを楽しんでみませんか。 |
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| 2「ウメバチソウとマツムシソウ」 この二つの野草は仙養ヶ原の秋を彩る代表的な草花です。ウメバチソウは近田小学校の校歌にも歌われています。梅の花に似たこの花は、湿り気のある土地を好んで繁殖します。黒土に覆われた仙養ヶ原の草原は保水力がよくウメバチソウに適した環境でした。私達が子どもの頃には、秋になると草原一面に咲き誇り足を踏み入れることもできないほどでした。ところが、キャンプ場の開発と共に年々減少し絶滅寸前になってしまいました。マツムシソウもかろうじて生き残っている草花です。紫色の美しい花は私達を魅了します。これらの花に何かの保護活動を展開しないと本当に絶滅してしまうでしょう。「自然は人間を育て 人間は自然を守る」これは、私が考えた標語です。今、私達は、身近な自然との共生を考え、何かの行動を起こしていくことが大切ではないでしょうか。 |
| 3「ツチアケビ」 子ども達に「ツチアケビ」を見せました。驚いたような顔をしながら「これ食べられるの?ソーセージがぶらさがっているようだなあ」と言いました。さすが子ども達は違います。「ツチアケビ」という名は、土に生えてあけびのような実を結ぶことから名付けられました。油木町では、「仙養・安田・油木」の限られた場所で生えていることが報告されています。この植物は、らんの仲間です。普通らんの仲間は、緑の葉に美しいというイメージがあります。ところが、「ツチアケビ」には葉がなく(無葉蘭)花(黄褐色)も美しいとはいえません。しかし、夏から秋にかけて、深山で赤い実をさげた姿に出会うとその不気味な姿に思わず息を飲んでしまいます。見つけた人の中には、ヤマノカミノシャクジョウ(山の神の錫杖)と言う人もいます。現在までに発見された場所は、杉林や竹薮が多いようです。花は六月頃に咲き始めます。ソーセージのように赤く熟した実は、夏から秋にかけてみられます。もし見つけたら知らせてください。油木町は自然の宝庫です。十月号でウメバチソウを紹介しました。するとどうでしょう。早速、油木小学校の三年生の女の子が「墓参りに行く途中で見つけたよ」とウメバチソウを持って来ました。子ども達の優しい心、大切にしたいものです。 |
| 4「カラス」 「カラスなぜ鳴くの カラスは山に・・・」「カラスといっしょに帰りましょ・・・」等の歌とともに、カラスと私たちは切っても切れない仲にあります。世界には約九千種の野鳥が住んでいます。野鳥の名前が全くわからない人でも、カラスだけはご存知でしょう。でも、この辺りに二種類のカラスがいることを知っている人は少ないと思います。それは、ハシボソガラスとハシブトガラスです。昔から住んでいるカラスがハシボソガラスです。ハシブトガラスはくちばしが大きく頭が角ばっていて不気味な感じがします。今度カラスを見かけたらどちらのカラスかな?と観察して見てください。カラスは数を数えることができます。いくつまででしょう。いろいろな研究から三つまで数えられることがわかりました。四つは駄目なのです。カラスは、家族単位で生活しています。五〜六羽で行動していることが多いと思います。父母・子ども・祖父母というように。ただ、珍しいえさが見つかった時には仲間を呼びますのでたくさんのカラスが集まってきます。家族のきずなを大切にして生きるカラスの私たちも学びたいものです。 |
| 5キレンジャクとヒレンジャク・・・そしてツグミ 野鳥には、渡りをする夏鳥と冬鳥がいます。キレンジャクとヒレンジャクは、冬鳥の代表的な鳥です。数十羽、数百羽という集団を成して行動します。頭には冠羽があり、とても格好のよい鳥です。かって、油木市場下の電線に三百羽を超す大群が飛来したこともあり、ご覧になった方もあると思います。初冬は珍しく数十羽が飛来しています。役場の第二駐車場の所にある柿の実を数日間で食べつくしてしまいました。この野鳥は、北半球北部で繁殖し、日本には秋に渡って来ます。山や公園や人家付近にある木の実を食べながら厳しい冬をたくましく生きていきます。春になると南風に乗って北の国に渡っていくのです。ツグミも代表的な冬鳥です。スズメ二匹分ぐらいの大きさです。ツグミも冬鳥として、シベリア等から日本に飛来します。十二月のはじめ頃までは群れを成していますが、寒さが厳しく餌が少なくなる頃には、一匹ずつが縄張りを持って生活するようになります。皆さんの家の周りの畑には、必ず棲んでいると言っていいでしょう。寒く厳しい冬を乗り切るために鳥たちは、生きていくための縄張りを持ち、互いに侵さないというルールをつくりあげてきたのです。 |
| 6「セツブンソウ」 「鬼は外、福は内」節分と聞くと春の気配を感じます。この頃から咲き始めるというセツブンシウは、油木の地にもあります。二月の寒さが厳しいためもう少し暖かくならないと咲きません。私は、三月に雪の下で咲いているセツブンソウを見たことがあります。以前、東京のカメラマンが「セツブンソウを撮りたいので案内してくれませんか」とやって来たことがあります。二月下旬だったのですが、雪がたくさん積もっていたため見つけ出すことが出来ませんでした。セツブンソウは石灰岩地帯の自生する大変珍しい植物ですから大切に保護されなければなりません。ところが、荒らす人が多く困っています。早春のわずかな期間に花を咲かせ、根に栄養を蓄えて再び隠れてしまう植物。他の草が繁茂しない間に全てのことをやってのける姿に感心します。私たちには到底真似ができそうにありません。 |
| 7「ユキワリイチゲ」(キンポウゲ科) 「ゆき」の名前がつく野草には、「ユキワリイチゲ」「ユキノシタ」「ユキザサ」などがあります。「ユキノシタ」は誰でも知っていると思いますが、「ユキワリイチゲ」はあまり知られていないと思います。この花は、雪を割って咲く一輪草、早咲きの一輪草という意味から名付けられたのでしょう。三月中旬頃から咲き始め約一ヶ月咲き続けます。薄い青紫を含んだ白い花は、陽春の光を浴びると花を開き、夕方になるとそっと閉じていきます。茶花としても大変貴重な花として愛されています。茶室にそっと飾られた一輪の花に電灯の光が当たると少しずつ花を開いていきます。この辺りでは、谷間の雑木林などに見ることができます。秋に新葉を出し、わずかな冬の陽光を浴びながら根を育て花芽を育てていきます。岩肌の見える谷間で、他の草たちが姿を見せない早春に花を咲かせ、木々が新緑に染まる頃には姿を消していきます。大自然の中で生きる植物たちは、共存するために開花時期、開花場所を見事に分け合っているのです。〜花は咲く、誰が見ていなくても、花の命を美しく咲くために〜時には、懸命に咲く花を見つめながら「人であるそのことを美しく生きているかしら?」と自分自身に問いかけてみたいものです。 |
| 8「タンポポ戦争」 タンポポは、約二十二種類もあります。その中でもシロバナタンポポ・カンサイタンポポ・セイヨウタンポポとあります。私達が育った戦後はシロバナタンポポがほとんどだったのですが、今はセイヨウタンポポがそのほとんどを占めています。特に往来の激しい道路の周辺ではセイヨウタンポポが独占しています。このタンポポは、明治以降日本に入ってきた帰化植物です。都市を中心に分布地域を広げ、日本在来のシロバナタンポポ等がだんだんと姿を消しています。まるで、両者の間でには人間の場合と同様、相手を駆逐しあうような戦争がおきていると考えられます。都市化とくに乾燥に耐える力が強い、踏みつけに強い、アルカリ性・チッ素土壌に強いセイヨウタンポポがはびこいり日本在来種の勝利しているのです。植物に見られる荒廃ぶりは、私達日本人の生活・生き方・考え方のにも表れているのではないでしょうか。不易と流行という言葉がありますが「時代が変わっても変えてはならない不易について真剣に考えなさい」と日本在来種のシロバナタンポポが山路で農家の見える土手で呼びかけているようです。 |
| 9「アセビ(馬酔木)つつじ科 これを食べると馬でもよったように体をふらつかせる。子どもの頃、家で飼っていた山羊がアセビを食べて口から泡をふきけいれんを起こして死んでしまったことがあります。有毒植物として有名なアセビも私達の生活に役立つことも多く、山林の境木や庭園に植えられています。子どもが遊ぶゴム銃や木彫に使ったりします。また、アセビの葉を煎じ菜園の殺虫剤に用います。子どもの頃赤い新芽を便所に投げ込みウジムシを殺していたことを思い出します。化学薬品のない時代には自然の物をうまく使っていました。そして自然を守ることにつながっていました。ところがイノシシの天敵は寄生虫だそうです。イノシシは寄生虫を退治するためにアセビの樹皮を食べます。しかし、子どもや体の弱いイノシシは、寄生虫とアセビの毒に勝てず死んでしまうことも多いのです。自然の中で生きる動物たちは、生きるための自然の恵みを巧みに利用することを学び伝承しながら逞しく生きてきたのです。今、子ども達は、「生きる力を育む」ことが求められています。科学の進歩とは裏腹に「生きる力」は弱体化してきたのでしょうか。未来に生きる子ども達のために共に考えていきたいものです。 |
| 10「モリアオガエル〈アオガエル科)」 梅雨の季節を迎えました。カエルは梅雨が大好きです。この辺りに棲むカエルは「ヒキガエル・アオガエル・トノサマガエル・カジカがエル」等です。カエルには、美しい声で鳴くカジカがエル、体色を変化させるアマガエル等、いろいろな特徴を備えたものがいます。さまざまなカエルが棲んでいるほど人間にとって良い環境といえるのです。どのようなカエルがどこに棲んでいるか等、カエルに興味を持ってみませんか。面白いカエルもいます。その一つにモリアオガエルがいます。このカエルは、池の上に張り出した枝先や水田の周りの雑草に白いソフトボール大の卵塊をつくります。小野・新坂地域では、六月初旬の雨の降る夜に卵を産み付けます。雌一匹に五〜六匹の雄が覆いかぶさって産む様は実に見事です。奈良の横山栄人さんの池には数え切れないほどの卵塊がぶらさがり見る者を圧倒させます。もし、皆さんの周りにも棲んでいたら情報を提供してください。ある雨が降った朝のことです。五年生の男の子が「三十二匹ものカエルが道路で死んでいたよ」と悲しそうに話しました。車にひかれて死んだカエルに優しい思いを寄せる子どもの姿に心を動かされます。 |