〔ゆきの自然を楽しむ〕
写真の説明文は中西正一先生の著書(ふるさとの人、自然とともに)の説明文をコピーさして頂いて居ます。
説明文の転載に付きましては、徳永真治元先生のご協力を頂いて居ます
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| 11「ユウスゲ」〈ユリ科) 「ゆうすげは 淡い黄色の夜に咲き 朝に散る花・・・」森進一の歌「ゆうすげの恋」に歌われているユウスゲガ咲く季節を迎えました。ゆうすげの恋の歌のごとく、ユウスゲは夕方から開花し翌日のの午前中にはすぼんでしまいます。このような一日しか命のない花を一日花と呼んでいます。ユウスゲは、初夏の夕方を彩る花として親しまれてきましたので皆さんも目にされることが多いと思いますが、近年その姿が少なくなってきているように思います。ユウスゲが咲く環境が狭まってきているものと思われます。同じユリ科の仲間には、ササユリ・カタクリ・シライトソウ・ホトトギス・ギボウシ等があります。特にササユリ・カタクリは、ササユリの里・カタクリの里等の保護活動が進み自然の美しさを残す活動が展開され注目される花になってきました。「花は咲く 誰が見ていなくても 花の命を美しく咲くために・・・」詩人 高田敏子さんは花をこのように歌いながら、人は花のように美しく生きているだろうかと問いかけています。 |
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| 12「ヤマトラノオ」(こまのはぐさ科) ヤマトラノオは、その名のごとく山に咲くトラの尾のような形をした花ということです。誰もが知っているオカトラノオはさくらそう科の白い花ですが「ヤマトラノオ」は紫色の可憐な花です。仙養ヶ原に唯一咲いていたこの花も今はその姿を見ることはできません。仙養ヶ原の観光開発とともにその姿を消したのです。仙養ヶ原といえばかつてはススキの草原のレンゲツツジ〈かっぽう花)・ウメバチソウ・マツムシソウが咲く草原でした。その草原にヤマトラノオやオキナグサやスズサイコ等の希少種がそっと咲いていました。開発が進む中にあって私はヤマトラノオ等の種を採取し栽培してみました。これは見事に成功して増やすことができました。町内小学校五年生のキャンプ等の機会に子どもたちに苗を植えてもらうこともしているのですが、いつの間にか抜き去られてしまいます。私たちの心の花であるウメバチソウやマツムシソウが無くなってしまうのも時間の問題でしょう。観光開発によって得るものがあれば失う物も大きいということを知らなくてはいけないと思います。もし、ヤマトラノオの苗をお求め方はご一報くだされば差し上げたいと思います。 |
| 13「ニホンマムシ」〈マムシ科) マムシに噛まれやすい季節になりました。マムシは卵胎生で八〜十月はじめにかけて二〜十三匹の幼蛇〈子へび)を産みます。七〜十二年は生きるといわれヘビの中では長生きのほうです。毒蛇として知られているマムシですが、性質はおとなしく積極的に人を襲うことはありません。しかし、噛まれた場合は命にかかわることもありますので要注意です。多くのヘビは卵を産みますが、マムシは親と同じ形をした子どもを産みます。私たちは子どもの頃から「親の腹を噛み切って出るとか、口から出てくるのでやたらと噛みついて牙を折る」等と教えられました。しかし、実際は総排出口から出産します。マムシの雌を捕らえて飼育してみるとよく分かりますよ。ところで、この辺りに生息する毒蛇にはマムシばかりでなくヤマカガシもいます。かなり強い毒で内臓出血、脳内出血等を起こして死亡した例もあります。ヘビ毒には大きく分けて神経毒、出血毒、筋肉毒があります。マムシやヤマカガシの毒は出血毒が主です。毒蛇の危険度はそのヘビの持っている毒の強さよりも噛まれて注入される毒液の量で決まります。皆さんもご存じのようにマムシは薬にもなります。毒を薬にかえてしまう人間の知恵にはいつも感心させられます。 |
| 14「ヒガンバナ」(まんじゅしゃげ) 「紅い花ならマンジュシャゲ オランダ屋敷に 雨が降る・・・」と歌われたヒガンバナは、昔、中国から渡来したものが広がったと言われています。ヒガンバナ科の仲間にはナツズイセン・キツネノカミソリ等があり、この三つの花には共通した面白い秘密があります。それは私にとって子どもの頃からの疑問でした。ヒガンバナは水田の土手等でよく見られます。彼岸前には水田の畦や土手の草がきれいに刈り取られます。刈り取られてしまったはずなのに、ヒガンバナが咲くのはなぜだろうか。これが、私の疑問でした。三十歳を過ぎ、植物に興味を持つようになって初めてその疑問を明かすことができたのです。それは、三つともに葉が枯れ、無くなってしまってから花茎を出し花を咲かせるということでした。草刈をする頃には葉は枯れて無くなり、花は土の下に隠れていたのです。特にヒガンバナは、花の後、周囲の草が枯れてしまった冬に線形の緑の葉を広げます。冬のわずかな日光を受けて球根を育てます。春、他の草たちが葉を広げる頃には枯れてしまい眠りについてしまいます。そして秋、あの燃えるような花を咲かせるのです。自然の草花たちは花の命を美しく咲かせるために、咲く季節を互いに譲り合っているのです。 |
| 15「ムササビ」(ほ乳類・げっ歯科・リス科) 福本区の三石彰英さんの家の縁側にムササビが入り捕獲されました。三石さんの家の周りにはカシの大木が林立しています。大木の樹洞に巣を造るムササビにふさわしい環境です。きっとこのカシの大木にすんでいるのでしょう。ムササビ〈頭胴長約40cm)は、飛膜を広げて滑空する動物でリス類では世界最大で滑空距離は100mを超すこともできます。ほお、前肢、後肢、尾の間の皮膚がのびて飛膜になっています。万葉の昔から歌にも詠まれ人々に親しまれていたムササビは、今では数が減少し出合える機会はめったにありません。夜の森で木の上からギギ・・・ギュルギュルギュルと鳴くと天狗が出たと驚くかもしれませんが、ムササビですので調べてみてください。油木の八幡神社でも見かけられたそうです。同じ仲間に小柄で目の大きいモモンガ(頭胴長約十七cm)もいます。モモンガは、尾と後足の間に飛膜がなく樹上ではムササビよりも敏しょうです。きっと町内のどこかにいるはずです。油木町の自然史「動物編」の資料に役立てたいので身近な動物の情報を提供いただければ幸いに思います。 |
| 16「冬虫夏草」(ミミカキタケ・・・にくざきん科) 最近は冬虫夏草入りのドリンクが発売され冬虫夏草について少しは知られるようになりました。しかし、初めて聞く人には何のことか分からず理解できないと思います。私にとって冬虫夏草との出合いは一九八四年のことでした。友達がカメムシの体から生えた奇妙な物を持参し「これはミミカキタケというもので冬虫夏草の一つなんだよ」と教えてくれました。落ち葉がいっぱい積もった山林で落ち葉の中に約一cmのぞいた子実体を発見し根気欲掘っていくとカメムシが見つかったというのです。「金の値打ちがあるんだよ」と冬虫夏草について話してくれました。初めて見るミミカキタケに驚いたものです。冬虫夏草とは・・・カメムシ等が活動する時期にカメムシ等の体にミミカキタケ等の胞子が付着します。秋に死んだカメムシは落ち葉に埋もれてしまいます。すなわち冬の間に付着した胞子はゆっくりと菌糸カメムシの体に伸ばし翌年の夏から秋にかけて地上に草のように姿を表すのです。探そうと思っても探せないミミカキタケです。もし、見つけられたら本当に感激でしょう。自然との出合いは偶然が多いものです。その偶然の出合いが私達の幸せをもたらすもとも多いのです。 |
| 17「まゆを探そう」 冬になると落葉樹の枝に虫が作った「繭」を見つけることがあります。栗の木を裸にしてしまうクスサンの幼虫が作るまゆは網目状です。クスサンの幼虫(白い毛で被われている)からはテグス糸がとれるので釣りを釣りを楽しんだ経験を持っている人もあるでしょう。蚕に似た薄黄緑色の繭はヤママユという蛾の幼虫が作ったもので良質の絹糸がとれます。「かます形」をした緑色の繭は、ウスタビガの幼虫が作った繭です。かます形の繭の上には幼虫が出る穴、下には雨水を出す穴があります。私は以前あの「かます形」の繭をどのようにして作るのか不思議でたまらなくなり卵を見付け飼育したことがあります。立派に成長した幼虫がある日、口から糸を吹きながら繭を作り始めました。二日ほどかけて「かます形」の繭を完成しました。このように、虫たちは周囲から何ひとつ教わらなくてもその虫特有の繭を作ります。虫が持っている超能力を見ていると神様が作ったとしか思えません。超能力を備えた虫たちの一つひとつを理解し大切にすることがひいては自然を大切にし人を大切にすることにつながっていくと思うのです。 |
| 18「モグラの生態」 子も辺りには二種類のモグラがいます。大きいモグラがコウベモグラ、小さいモグラがヒミズです。モグラは、昼も夜も活動しせっせとトンネルを掘って地中をパトロールし餌を探しています。田や畑や草原の所々に黒土が盛り上がったところが見られますが、これは「モグラ塚」といってトンネルを掘り進むうちにたまった土を地上に押し上げて捨てたところです。モグラの食物のほとんどはミミズ類(七十%〜九十%)です。大食いで、すぐに腹がすくので昼も夜も餌を探し回るのです。地中にいるコガネムシやガの幼虫・さなぎも食べます。よく、サツマイモをモグラがかじったといいますが、それはモグラのトンネルを利用しているアカネズミなど野ネズミの仕業なのです。モグラは大変きれい好きで、巣のどこかにトイレを作り、そこで用をたしています。また、巣もきれいな草を敷きつめ清潔にしています。雄は雌が子どもを生む頃には雌と別れて一人暮らしをしますので、子どもの世話は雌だけがします。子どもは二〜五匹で、生まれて四十日もすると親から別れ新しい土地にめいめいの縄張りを作り生活します。モグラは畦などに穴をあけ農家から嫌われますが、モグラがいるということは土地がよく肥えている証拠、きれい好きで愛嬌のあるモグラと人間が共存できる工夫をこらしたいものです。 |
| 19「ホオジロ」(ホオジロ科) 「先生、こんなきれいな鳥が死んでいたんだよ。かわいそう」と三年生の女の子が手で暖めながら持ってきました。見るとホオジロの雌でした。子どもの頃ショート(方言)と教えられてきた野鳥です。春を告げる鳥として有名で、この鳥が木の梢で鳴き始めると田畑の仕事が始まります。「一筆啓上、仕え候」とか「源平つつじ、茶つつじ」と鳴いているのだよ。と教えられたものです。言葉の意味は分からなくても小さいときに教えられたことは一生忘れるものではありません。ホオジロはスズメ目の仲間です。スズメ目にはスズメ、ミヤマホオジロ(冬鳥)・アオジ・カワラヒワ(群れを成し、飛ぶと黄色が目立つ)・ウソ(サクラの芽を食べる)等たくさんいます。害を及ぼすこともありますが、小さな雑草の実を食べてくれる益鳥でもあります。中国でスズメ退治大作戦を行ったところ雑草が繁殖し稲の収量が激減したという話もあります。害鳥といえども長い目・広い目でみれば全て私達人間の生活の役立つ益鳥なのです。「一筆啓上 仕り候」春を告げてくれる野鳥たちのさえずりに季節の移り変わりを感じ取れる生活を送りたいものです。 |
| 20「ツミ」(ワシタカ・ワシタカ科) ツミは、ハトくらいの鳥ですがとても速く飛ぶので目にすることはまれです。ツミは猛きん類で小鳥・ノネズミを主なえさにしています。小鳥は、素早く逃げることのできるやぶや林のすんでいます。その小鳥を捕るためにツミは速く飛び急旋回が出来ます。今まで県内の観察例は少なく一九七四年庄原市で激突死、一九九七年神石町相渡で一羽。永野で一羽・窓ガラスに衝突したり鉄砲に撃たれて死んだ例があり、いずれも剥製として保管されています。ところが、油木町にもツミがすんでいました。小野公民館の窓ガラスに衝突し落ちたツミを平松館長が持って来てくださいました。しばらくするとショックも和らぎ元気になりました。猛きん類らしい鋭く輝く目。爪は私たちの手にぐさりと突き立つ恐そるべき鋭さでした。じっくり観察し写真も撮った後、大空へ逃がしてやりました。ところで人間が住む環境を考える時、その物差しの一つが猛きん類の存在です。ワシタカなどが多いということは、餌になる小鳥が多いことを意味しています。人間がいつまでも地球で暮らせるために、小鳥がたくさん群れ飛びワシタカの仲間が多くせい息する環境づくりに努力したいものです。 |