〔ゆきの自然を楽しむ〕
写真の説明文は中西正一先生の著書(ふるさとの人、自然とともに)の説明文をコピーさして頂いて居ます。
説明文の転載に付きましては、徳永真治元先生のご協力を頂いて居ます
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| 51「カワセミ」(カワセミ科) カワセミはコバルト色の背と橙色の下面をもった、くちばしの大きな美しい鳥です。九月のある日のことでした。「お客さんが持ってきてくださったんですよ。なんと言う取りでしょうか」と保護者の方が一匹の鳥を持参してくださいました。ダンボール箱の中にいる美しい鳥を見てすぐにはカワセミとは分かりませんでした。身近に見るのは何十年ぶりだったからです。私が中学時代の頃のことです。私の家の上空を「ピー ピー」と鳴きながらコバルト色の美しい鳥が飛んで行きます。何という鳥だろう。どこに巣があるのだろうか。私はずっと観察を続けました。ある夏の日のことでした。裏山のカヤ原に隠れて鳥が飛んで来るのを待ち伏せしました。「ピー ピー」と飛んできた鳥が段々畑の土手でぱっと姿を消したではありませんか。「あれっ。変だなあ。どこに消えたのだろう」と、目を凝らして見ると土手に小さな穴が開いています。「あの穴の中に入っていったんだなあ。よーし。今度飛んできたら捕まえてやろう」と、待ち伏せしました。苦心の末やっとカワセミを捕まえました。初めてカワセミを手にした時の感動を昨日の如く思い出します。カワセミは、粘土質の土手に穴を開けて巣作りをします。巣作りには魚の骨を使います。カワセミにとって生きた魚と粘土質の土手は絶対必要条件なのです。魚を求めて家庭の池にも飛来するカワセミですが、自然が創り出すカワセミの美しさには誰もが心を打たれることでしょう。 |
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| 52「アオサギ」(さぎ科) 羽をひろげると1m50cmを超す大型の野鳥です。大切に飼われている池の鯉を捕られて腹立たしい思いをされた方は多いことでしょう。アオサギは川、池、水田、干潟などに生息し、水の中をゆっくり歩いたり、じっと立ち止まって待ち伏せしたりしながら魚を捕らえます。大きな魚はくちばしでさして捕らえることが多いようです。捕らえた魚はくわえ直して頭から飲み込みますが、岸に打ち付けて殺したり、飲み込む前に洗うこともあります。この辺りでは一年中生活しているので雪の降る池にじっとたたずむアオサギを見られることもあるでしょう。そんな姿を見ると可愛くも思います。全国的にはアオサギのコロニー(集団で生活する形態)は減少していると言われています。しかし、油木町では増加しているように思います。その理由として考えられるのがダムの増加です。成羽川ダムの小町橋の辺りには毎年大きなコロニーを作りますし、仙養ダムにもコロニーを作ります。ダムをはさんだ対岸の崖や林は安心して巣作りができる場所なのです。巣は梢に小枝や枯れ草を積み重ねた粗雑なものです。産卵期は四〜五月、卵数は三〜五個、抱卵日数は二十五〜二十八日くらいです。約五十日で巣立ちます。私たちが子どもの頃にはアオサギを見たことがありません。ダムができるなど環境の変化によってアオサギは増えたのでしょう。しかし、その陰に減少していく生き物がいることも見逃してはならないでしょう。 |
| 53「オオカマキリ」(カマキリ科) カマキリの仲間は、体が細長く、前足がかま形で、成虫、幼虫ともに肉食性です。日本には、ニ科十種が分布しています。皆さんがよく見られる大きなカマキリのほとんどがオオカマキリです。オオカマキリの卵(卵のう)は球形に近いもので、よく見かけると思います。いわゆるカマキリはオオカマキリより少し小さくて、卵のうは細長くてかたいのが特徴です。茶色をした五cmくらいのカマキリはコカマキリといいます。前足のかま形のところに美しい模様が見られます。コカマキリの卵のうもカマキリに似ていますが小さいのが特徴です。冬、山仕事をしていてカマキリの卵のうを見られたら、その形で何か判断したり、何カマキリが多いか調べてみたりするのも面白いですよ。ところで、カマキリの雄にとって、雌との交尾は命がけです。雄は雌をみつけると後ろのほうからそっと近づきます。交尾前に雌に気付かれたら餌にされてしまうからです。交尾がすむと、雄は食べられてしまうこともありますが、うまく逃げることもあります。私は、交尾しているカマキリを捕まえてきて、何回か観察してみました。雄は雌の体にしがみついたまま食べられてしまいました。まず最初に雄の頭をたべてしまうのには驚きました。雌は雄の羽を残す以外は全て食べ尽くしてしまいました。カマキリの恐るべき不思議な世界です。 |
| 54「マガモ」(ガンカモ科) 渡り鳥には夏鳥と冬鳥がいます。代表的な冬鳥にはツルとカモがいます。今回はカモの仲間のマガモを紹介しましょう。写真は一羽が雄で二羽が雌です。野鳥の仲間は雄の方が雌より美しい姿をしています。それには二つの理由があるようです。その一つは、雄は美しく見せて雌を引きつけるためです。もう一つは、敵に目立つようにして一家を守るためです。キジもヤマドリもそうですが、雄は敵と戦うために足の後ろ側に鋭い蹴爪(けづめ)を持って生まれてきます。このように、お父さんには一家を守る義務があたえられているのです。ところで、マガモを見られたことがありますか。福山の芦田川などではよく見ることができますが、この辺りの川やダムでも時々見ることがあります。特に雄は緑色の頭が美しく目を引きます。いつもは見られないマガモなどに出会うと幸運に恵まれるような気持ちになります。私は、野鳥の研究をするまでは「カモのように水の上に浮かんでいる鳥は魚を餌に生きている」とばかり思っていました。しかし、カモの仲間が昼間は安全な湖や川や沼の水面で生活し、夜になると地上を歩いて草の実をついばんだり、泳ぎながら水中に首をつっこんで水草をとったりして生活していることを知り驚きました。カシやナラの実を好んで食べるオシドリなどもいます。鳥たちにとって、草の実も水草もドングリも大切な大切な食べ物なのです。 |
| 55「ヒラタケ}(ヒラタケ科) 普通なら夏から秋に見られるヒラタケが見事に発生しました。岩貝区の高延一行さん宅の近くの林にヤマグワの枯れ木が立っています。その大木の根元から空を仰ぐように、幹全体にぎっしりとキノコが生えました。驚いた高延さんが傘の径12〜18cmもあるキノコをかかえるようにして持って来られたのです。調べて見るとヒラタケでした。早速、現地に行き観察させていただきました。枯れたヤマグワの地表すれすれから幹全体に大量に生えたヒラタケに圧倒されました。ヒラタケは、普通、夏から秋にかけて広葉樹の枯れ木や倒木に多数重なり合って発生します。傘の径は4〜18cm、淡灰褐色、灰褐色、ねずみ色で、開くと扇方〜半円形になります。ひだはほぼ白色で垂生します。柄は白色で短く、白毛があるかまたは無毛です。ヒラタケによく似たキノコに毒キノコのツキヨタケがあります。ツキヨタケはひだに発光性があり、暗い所では黄白色に光って見えます。ひだのつけ根に環状の隆起帯があります。縦に割ると基部に黒褐色のしみがあるのでヒラタケとの区別がつきます。キノコを食べる時は、まず、毒キノコをしっかり覚えて、毒キノコかどうか確かめてみることが大切です。分からないことは、専門家に聞くことが大切ですね。 |
| 56「ナライガフシ」(虫こぶ) 写真のような物を見られたことはありませんか。ナラの若枝についています。子どもの頃から「何だろう。普通ならドングリが付くはずなのに不思議だなあ」と思っていました。中を割って見ることはしませんでした。大人になり植物に関心を持つようになったある日、この虫こぶを割って見ました。するとどうでしょう。中から小さな虫が出てきたではありませんか。しかし、その時には、その虫が何になるかは分かりませんでした。数年前、偶然に科学雑誌でこの虫のことを知ることができました。ナライガフシです。ナライガフシは、実は小さなハチが作る虫こぶの一種です。ナラの若枝の見られる栗のいが状の虫こぶがそれです。ナラゴウと呼ばれていますが、皆さんはどのように呼ばれますか。この小さなハチがナラの花の咲く頃、雌花に卵を産み付けます。ふ化した幼虫はある液を分泌します。そのために果実になる部分が異常な発達をして、このような虫こぶになるのです。ハチは、いが状の物に守られながら幼虫、さなぎとなり、翌年五月にはハチとなって飛び立っていくのです。ハチの持つ不思議な力によりドングリになる筈の物がこのような奇妙な形にさせられたのです。 |
| 57「レンゲツツジ」 大学生になった5月のある日のことでした。山梨県にある大菩薩峠に登山しました。海抜2000mに達した時でした。目の前に見慣れたツツジが咲いています。「あっ、カッポウバナだ」と直感しました。牧野富太郎博士のような先生に恐る恐る「これは、カッポウバナですか」と尋ねると、「君の地方ではそう言うのかね。この花は、実はレンゲツツジと言うんだよ」と教えて下さいました。その時、私は初めてレンゲツツジという呼び名を知ったのです。子どもの頃には、我が家の周りの山々の至るところに咲き誇っていたレンゲツツジも今はほとんど見ることができなくなりました。レンゲツツジが咲いていた山が農地に変わり、植林地に変わりました。また、しばかりをしたり牛を放牧したりする山も減りました。大人になるまで私は、レンゲツツジは仙養一帯のしかないと思っていました。しかし、新坂小学校に赴任した時、神田谷や藤野呂の山土手に咲いているレンゲツツジを見て驚きました。また、新坂をとても身近に感じました。レンゲツツジは日本の高原に生えるツツジです。朱紅色の花や濃朱紅色の花や帯紅黄色の花や黄色の花があります。現在、レンゲツツジが油木町の町花に指定され大事にされていることを大変嬉しく思います。た か が 花 さ れ ど 花・・・花のように魅力ある町でありたいものです。 |
| 58「サクラソウ」(さくらそう科) サクラソウは初夏を彩る可憐な野草です。サクラに似た花の形からサクラソウと名付けられました。普通は山間の湿地に生えていますが、今では限られた場所にしか自生していません。ある初夏の日、友達と朝から谷を歩き回り疲れ果てて谷川のたもとに座り込んだ時でした。目の前に真っ白なサクラソウが咲いているではありませんか。サクラソウは普通、紅紫色の花です。ところが、目の前のサクラソウはまさしく白花なのです。初めて見るシロバナサクラソウを写真に収め、そっとしておこうとその場を後にしました。次の年のことでした。去年のサクラソウはどうなっているだろうか。胸をときめかして訪ねてみました。するとどうでしょう。去年サクラソウが咲いていた場所は山からの土砂で埋め尽くされていました。しまったことをした。去年発見した時、一株でも持ち帰っておけばよかったと思いながら土砂を取り除きにかかりました。しかし、莫大な土砂を取り除くことはできません。全滅してしまったのです。しまったなあ。あきらめて帰ろうとした時、小指の爪ほどのサクラソウの葉を見つけました。どうか白色のサクラソウが咲きますようにと育てて三年、今年シロバナサクラソウが咲いたのです。嬉しくて嬉しくてなりませんでした。美しく咲いたシロバナサクラソウ。少しずつ増やして元の谷に返しにいこうと夢見ています。やはり、油木の自然はすばらしいですね。 |
| 59「ウメガサソウ」(イチヤクソウ科) 梅の花に似た可愛い花ウメガサソウは、乾いた山地に全国的に分布している花ですが、この辺りではめったに見ることはありません。昨年のことでした。行政区の草刈り作業をしている時、松林の土手に咲いているウメガサソウを発見し大喜びしました。早速、写真に収めたのがこの写真です。茎の先端に一花か、時には二花の花をつけます。下向きに咲いた白い小さな花を見ていると思わずしゃがんで見とれてしまいます。草刈りの手を休めて花に見入っていると疲れを忘れてしまいます。ウメガサソウの仲間には、イチヤクソウ、ギンリョウソウ、シャクジョウソウなどがあります。昨年、五年生の女の子とお父さんがギンリョウソウを届けてくださいました。花の名前を聞くと「ユウレイソウ」だと言うのです。山地の暗い木陰に真っ白の姿で生えるギンリョウソウは、女の子のいうように、まるでゆうれいのようです。ユウレイソウ・・・うまい名前をつけたものだと感心しました。油木町には、まだまだ知られていない自然がいっぱいです。四季折々に変化する油木の自然を大いに楽しみましょう。 自然は人を育てる 人は自然を守る |
| 60「ソバナ」(ききょう科) 油木町の限られた場所に見られる薄紫色の可憐な花です。ソバナの花は恥じらいを含んだ山の少女が微笑んでいるようです。伸びた茎は高さ一メートルにもなります。茎の上のほうは幾つかに枝分かれして鈴なりのつぼみをぶらさげ、やがてつりがねのような花を咲かせます。あまりにも可憐なので一つ枝を折って持ち帰り花瓶にさしましたが、すぐにしおれてしまいました。水揚げはよくないのですね。ソバナは、湿っぽい岩肌のようなところに咲いています。道路工事などで岩肌にふきつけが施されると滅びてしまいます。私は、毎年のようにソバナの種を採取しては、ソバナの咲いている周りの岩肌にばらまいています。でも、なかなか増えてはくれません。そのうちに、道路工事でふきつけがされるのではなかろうかと心配しています。ソバナと同じキキョウの仲間の中で誰もがご存じの花はキキョウですね。つぼみをポンと割ったり、キキョウの花弁にアリの汁をつけて花の色を変えたりした経験を持たれている人は多いことでしょう。この辺りでは、キキョウの他にもサワギキョウ、ヤチシャジン、シデシャジン、ツリガネニンジンなどたくさんの花を見ることができます。季節と共に変わりゆく油木の自然を思う存分楽しみましょう。 自然は人を育てる 人は自然を守る |